校長室より

校長 小宮山 琢磨

 本校は、歴史と伝統のある品川宿旧東海寺跡に建っています。区内随一の校庭を擁し、学年ごとの特徴をもたせた独自の教室群など工夫ある校舎で、6歳から15歳の子供たちが毎日一緒に学校生活を送っています。平成23年4月に、品川区で5番目の施設一体型小中一貫校として開校し、平成28年度より、学校教育法の改訂に伴い、初めての義務教育学校として新たなスタートをしました。令和5年度は、学園開校から14年目、義務教育学校として9年目となります。

 

 そして、今年度は、少しずつ子供たちの活動への制限が解かれていく大切な転換期になります。しかし、この3年間、停滞していたわけではなく、品川学園の児童生徒たちは、常に先を見ながら前向きに生活を送ってきました。感染症対策下の機会を生かして、自分たちで新しい取組を作り続けてきました。新しい形にチャレンジしてみんなでつながる天桜祭・光椋祭、個人やクラス・学年の個性を伸ばす紅葉祭・楓光祭、生徒が進行主体となる卒業式などはその好例です。様々な機会をとらえて、できないことよりも今できることに目を向けて活動し、立派に成長をしてきています。さすが、歴史ある品川宿の進取の気性を受け継ぐ子供たちです。

 

 ぜひ、これまでを生かし、気を抜くことなく安全と健康を守る中で、ただ単に旧に戻るのではなく、子供たちと作り上げてきた品川学園をより新しく紡いでいきたいと考えています。次の世界をつくる子どもたちには、このように状況の変化に対応するだけでなく、自らよりよい変化を起こしていける力を養っていきたいと考えます。また、未来をつくるために、他者と対話と協働を重ねて最適解を求める前向きで粘り強い力、自ら課題を捉えて解決へ進む内発力、判断力にも重きを置いて育成してまいります。そして、義務教育9年間と子供たちのその先を視野に入れ、社会の中で自己実現を図りながら活躍し、社会をよりよく変え、支える力を育ててまいります。

 

 義務教育学校を生むベースとなった一貫教育は、学校間だけでなく学年間の垣根をはらって視界を広げてくれました。しかし、足下にある、子どもたちが登るべき階段がなくなったわけではありません。子どもたちが、着実に一歩ずつ成長していけるよう、これまで培ってきた教育活動をより発展させて、品川学園も歩みを進めていきます。そして、毎日の教科授業をはじめ市民科や学校行事、委員会・自治会活動や部活動など、全ての教育活動を通して、義務教育の新しいスタンダードを創り出していきたいと考えています。先駆けとしての困難はあますが、なにより、子供たち自身が本校を母校として、大人たちよりも積極的に未来に向かって挑戦している姿に頼もしさを感じます。

 

 また、本校は、前身の品川小学校・城南中学校時代、小中一貫校時代の長きにわたり、保護者や地域の皆様から、多くのご支援・ご協力をいただいてまいりました。PTA・保護者の皆様にも、子供たちのために毎日の登校見守りの強化や、伝統ある「東海道ウォーキング」のリメイクなど様々な取組を工夫して実施していただきました。コミュニティスクールとしても、地域や企業・事業所の皆様に、多くのご理解ご支援をいただきながら教育活動を行うことができております。心より感謝申し上げます。これからも、今までの成果をもとにより良い活動となるよう、歴史あるこの地域の教育力を9年間で系統的に生かしていきます。そして、子ども一人一人を大切に育て上げる取組を進めてまいります。

 

 どうぞ、引き続き、品川学園の教育活動へのご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

更新日:2024年04月19日 18:16:58